Issues in our healthcare system vol.1: fragmentation and generalist solution

Family Medicine Research Review
6 min readSep 5, 2022

by Makoto Kaneko MD, MClSc (Family Medicine), PhD

今回からは2009年にAnnals of Family Medicineに6回にわたって掲載されたDr Kurt Stangeのeditorialを取り上げたいと思います。

第一回の

The Problem of Fragmentation and the Need for Integrative Solutions

にある様にこのシリーズはアメリカ、そして世界の医療システムに共通の課題であるコストの増大、不十分な質、健康格差などに対応するためには問題の根本を理解することが第一歩であるというスタンスで書かれています。

  1. The problem of fragmentation that underlies the more obvious health care crisis
  2. A generalist solution — to reducing fragmentation and fostering integration
  3. The nested hierarchy of health care — how health care can be organized to enable the higher levels that are unintentionally devalued by current approaches
  4. The paradoxical payoff of primary care — better whole-person and system outcomes despite apparently poorer quality disease-specific care
  5. Ways of knowing in health and health care — how understanding development in 4 complementary domains can inform a science and practice of integrated health care
  6. Cycles of renewal and adaption — that identify useful strategies for the current unstable position in the health care cycle

という6つの論点が冒頭に明記されており、この順番に話題が進んでいき、それぞれについて読者からの反応を募る形式となっています。また、いずれも家庭医療の実践に深く関係していると同時に、研究のテーマでもあります。

第一回ではfragementation 分断がKey wordです。

冒頭で経済的に余裕があり多くの医療機関にかかることが出来るものの、症状の原因は分からず検査や治療が積み重なるだけ、という患者さんの話が出てきます。ここで強調されるのは現在の医療システムが効率化や質の向上を目指して細分化されているために、全体を診ることが難しくなり、そのしわ寄せが患者さんにいっているという点です。

様々な研究分野から、個々の事象を要素還元的に見るのではなく全体として捉えることで部分の総和以上のものが見えて来るという知見が集まっているにも関わらず、医療に関わる医療従事者やステークホルダーの中ではシステムや患者さんの一部をみて部分的に理解することがまだまだ一般的です。

部分の最適解を求めて押し進めた結果として、非効率、非効果的な医療、健康格差の拡大、医療のコモディティ化、商業化、脱人格化、脱プロフェッショナリズムが起きていることを指摘しています。

「ケアの分断が問題の核心(の一つ)であるという認識を持つことから始めよう」というのがこの回のメッセージとなっています。

第2回の

The Generalist ApproachではGeneralistの臨床実践の特徴がKeyとなっています。

ここでは背部痛に悩む高齢男性とその妻が診察室に現われます。当初は筋骨格の痛みと思われたものの症状が持続するため、複数の専門医へ紹介。いずれも「自分の科ではない」という返事でしたが、更なる精査で胸部大動脈瘤、食道がんという症状の原因になりそうな疾患と偶然発見された腎臓がんが指摘されます。多くの情報に混乱する本人、家族に一つずつ状況を説明し、必要な専門医受診や検査をコーディネートする様子がGeneralist approachとして描かれます。

問題がシンプルであればシンプルな解決策が有用ですが、今回の様に状況が変化し、診断も不確定な場合や、状況が複雑なで個別の要素が大きい時にはGeneralist approachが有用となります。

具体的には

Ways of being — readiness for the generalist way

Ways of knowing — training for the generalist way

Ways of perceiving — seeing the world in ways that foster integration

Ways of thinking and doing — prioritized, joined-up action

の4つが挙げられ、それぞれ例が示されています

そして患者さんは、主治医が出張で不在の時に状態悪化し救急搬送、胸骨圧迫や人工呼吸を受けることとなり亡くなりました。

最後のWhat We Can DoではこのようなGeneralist approachを行うために医療システムがどうあるべきか?についても議論されています。

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Family Medicine Research Review

From Japan to everywhere. A group blog by Japanese family physicians and international colleagues. The blog aims to build research capacity and spread studies.