GPs at the Deep End: for Japanese GPs who are working at deprived areas

Family Medicine Research Review
6 min readApr 12, 2020

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Makoto Kaneko MD, PhD

The Deep End is the project for deprived general practices in Scotland. The project started in 2009 and is getting bigger and bigger. Since I’d like to introduce the movement to Japanese colleagues, I summarized the overview of the project in Japanese.

The picture from Graham C. M. Watt. The Exceptional Potential of General Practice CRC Press.

写真は参考文献のThe Exceptional Potential of General Practiceから引用しました

・2009年にスコットランドで最も社会経済的に厳しい地域にある100のプライマリ・ケア診療所(general practice)からプライマリ・ケア医(=家庭医:general practitioners)を集めて行ったミーティングがDeep Endプロジェクトの始まりである。

・そこではプライマリ・ケア医がスコットランドの健康/医療における不平等(inequalities in health)について何が出来るかが話あわれた。その中でまず決まったのは

①部分的に文献レビューを行い部分的な結論を導くこれまでのプロジェクトと同じであってはならない

②プライマリ・ケア医が「何をすべきか教えて貰う存在」だと仮定して、専門家から「ツールキット」を押し付ける様なものであってはならない

③第一線で活躍するプライマリ・ケア医の意見に耳を傾ける必要がある

というものであった。

・100の診療所から63人が参加し、ホームレスの人のケアをする診療所や、へき地の診療所からの医師、市民も加わった

・各診療所は患者リストを用い、the Scottish Index of Multiple Deprivationのスコアで最も社会経済的に厳しい下位15%の地域に住んでいる人の割合でランク付けされた→集まった診療所の患者の44-88%はこのカテゴリーに含まれていた

・Deep Endプロジェクトは限られた一部の貧困地域を点で捉えるのではなく、より広い貧困地域を面で捉えることを目標としている。

Thus, the Deep End Project has focused on blanket deprivation, rather than pocket deprivation

・Deep Endという名前は社会経済的に厳しい地域の方が健康問題が大いにも関わらずプライマリ・ケア医の人数など割かれるリソースが地域によって一定であることから、需要と供給のミスマッチがあり、そこで働くプライマリ・ケア医はギリギリの所を立ち泳ぎしている様なものだという水泳のアナロジーから来ている。

・2009年のミーティングでは集まった100の診療所がケアしている人数の平均(登録されている人の平均)は約4000、20がソロプラクティスの診療所、60が3人以下の医師であり、医療の質に関する指標(QOF)はDeep End以外のScotlandの地域と差が無かった。

・ミーティングではそれぞれの診療所が他地域に比べて大きな診療負担があるにも関わらず、質の高い診療を行っていること、時間や人的・経済的なサポートが十分でないことが明らかになった。参加者から出て来た話題はメンタルヘルスや薬物依存に対するケア、患者のエンパワメント、リソースの配分、医師やスタッフのサポートであった。

・その後この運動はUK各地域やオーストラリアに広がり様々なプロジェクトに繋がっていった

①リンクワーカープロジェクト

行政から経済的支援を受けて、プライマリ・ケア診療所でリンクワーカーを育成

②Govan SHIP (Social and Health Integration Partnership)

行政から支援を受けて、より複雑な患者に対してソーシャルワーカーやリンクワーカーと共に通常より時間をかけて診察を行う。定期的に多職種でミーティングを行ったり、deprivedな人のケアにかけての生涯学習に参加して知識をUpdateすることが出来る。

③Deep End GP Pioneer Scheme

診療所で質改善を行ったり、診療所外でdeprivedな人のケアに関する活動を行ったりするための能力を身に着けるプログラム。そのための予算や時間が確保されるシステムがある。

④Attached alcohol nurses

6つのプライマリ・ケア診療所で2人のアルコール専門ナースをシェアして一緒に診療に参加して貰う。

など様々な取り組みを行っている。

Deep Endの6つのマニフェスト

Extra TIME for consultations

Best use of serial ENCOUNTERS

General practices as the NATURAL HUBS of local health systems

Better CONNECTIONS across the front line

Better SUPPORT for the front line

LEADERSHIP at different levels

研究面では

・セルフケアやアクセス、予防医療への阻害因子の調査

・新しいサービス(社会的処方、リンクワーカー、ケアマネジメントなど)の評価

・Deep End GPに関連する研究の概要を定期的にまとめて共有し、第一線のGPが簡単にアクセスして利用できるようにする

などがトピックとして挙げられている。

Reference

Graham C. M. Watt. The Exceptional Potential of General Practice CRC Press. Kindle 版.

The Scottish Deep End Project

「日本でもこの様な取り組みをしていきたい!」という旨を自分からDeep Endのグループに問い合わせた所、「ぜひやっていきましょう」という返事を頂いたので、日本で既に同様の趣旨で活動されている人たちと連携して今後少しずつ取り組んでいきたいと考えています。

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From Japan to everywhere. A group blog by Japanese family physicians and international colleagues. The blog aims to build research capacity and spread studies.