Diving into the deep end: a scoping review on taking the plunge Deep End vol. 9

by Makoto Kaneko MD, MClSc, PhD

今回はつい先日発表されたDeep End GP groupを作るためのプロセスに関するScoping reviewを取り上げます

実はこちらの動画にかなり簡潔にまとまっていますのでそちらを見て頂くのも良いと思います。

〇分かっていること

・経済格差による健康格差は世界的に拡大しており、UKでも経済的に厳しい地域ではそうでない地域に比較して死亡率が高く、精神疾患を持つ人が多い

・その様な地域で働くGPは仕事量が多く、ストレスも多い
→2009年にその様な地域で働くGPのネットワークであるDeep Endがスコットランドで立ち上がった。
・現在は5か国、11か所にDeep Endグループが立ち上がっているし、若手医師のトレーニングプログラムも開始している。

〇今回の目的

Deep Endプロジェクトを開始するプロセスについての文献を集め、他地域で開始する際のフレームワークを提供する

〇方法

スコーピングレビュー
組み入れ基準:2009年以降のDeep Endに関する文書、英語で書かれているもの

〇結果

16の文書(査読あり雑誌の論文9, 書籍1, 査読の無い報告書など6)が組み入れられた。そのうち10件はこれまでこのブログでも取り上げてきたGraham Watt先生が著者もしくは共著者となっているものであった。

組み入れられた論文からDeep Endプロジェクトを始めるための7つのStepが抽出された。

  1. どこがDeep Endかを定義する:UKでは地域ごとの剥奪指標を使って対象となるエリアを定義しているものが多かったが、オーストラリアやアイルランドなどUKと同様の指標が無い国では、GPの主観的な判断(自分たちが診療している地域は社会経済的に厳しい地域である)をもとにエリアを定義していた。また両者を組み合わせることで、指標だけでは取りこぼしてしまう地域を範囲とすることも行われていた。
  2. グループの目的を決めるための最初のミーティングを行う
  3. 予算を確保する(あった方がいいが必須ではない)
  4. 実働を行うコアグループを作る
  5. 大学・研究機関等のアカデミアとコラボレーションする
  6. メンバーの基準を決める:多くのプログラムでは最初はGPだけで行っているが、途中から多職種を含む形になることが多い
  7. Deep Endのロゴを作る:ScottlandのDeep Endロゴを元に自分たちの地域のロゴを作成する

Deep Endに留まらず多くのプロジェクトはこういう形で行われているかなと思うのですが、そのプロセスもこうやってアウトプットする、というのが大事なのかなと感じました。

また、自分も含めこれから他の地域で同様のプロジェクトを行いたい人にとってはこういうものがあるとガイダンスになるなと思いました。

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Family Medicine Research Review

From Japan to everywhere. A group blog by Japanese family physicians and international colleagues. The blog aims to build research capacity and spread studies.